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格差と差別で成り立ってきた日本経済を破壊する衝撃

こんにちは。Roof SAです。

今回は一月万冊で10/16に配信された動画を紹介します。

清水さんが東大教授の安冨さんと、日本郵便の待遇格差に関する最高裁判決が意味する日本経済の変化についてお話しされています。

10/15 日本郵便を相手取った裁判で、非正規社員の手当てなどの待遇格差を不合理とする最高裁判決が出されました。

原告は154人で請求額は総額2億5千万円となっています。

住居手当、扶養手当、年末年始勤務手当、祝日出勤手当、夏期、冬季休暇手当、有給の病気休暇が非正規雇用にも認められた形となりました。

実際、日本郵政グループ全体で約18万5000人の非正規社員がいます。

日本郵便の人件費は約2兆円となっており、純利益はグループ全体で約5千億です。

この状態で仮に人件費が2割高騰すると、純利益の大半が吹き飛ぶという事になります。

18万5000人の非正規雇用によって日本郵便の人件費は2兆円に抑えられていたのです。

しかし、今後正規雇用同等の給料、各種手当の支払いが必要となると、正社員の待遇を落とすか、土曜日休配などサービスを落とすしかなくなります。

これは日本郵政だけの話に留まらず、日本の労働人口のうち4割を占める非正規雇用を抱える全ての企業に影響が及ぶでしょう。

財務省の統計データによると、日本全企業の総売り上げは約1200兆円で総利益は約60兆円です。

次に全日本人の総収入は200〜250兆円ですから、2割高騰すると40〜50兆円分人件費が上がり、日本全企業の純利益の大半が吹き飛ぶという計算になります。

これはあくまで平均であるため、ギリギリの経営を強いられている中小企業などはすぐさま赤字へ転落する危険があります。

大企業も正社員の待遇を守るために非正規雇用の待遇を低く設定しているため、同じような裁判沙汰になった時、非正規雇用から要求される金額は大きくなります。

今回の判決の裏付けとなったのが、2020年4月に施行された、同一賃金同一労働です。

元々その発祥は1950年代スウェーデンの経済学者によるもので、レーンメイドナーモデルとも呼ばれています。

経済学者ケインズの「不況でも公共投資で会社と雇用を守る」有効需要モデルへのアンチテーゼとして発祥されました。

有効需要を作り出すと不況時に倒産するはずだった会社が倒産しにくくなり、能力のない経営者が国によって守られるようなシステムとなります。

それは資本主義社会において不平等であり、労働者は同じ労働をしていても、儲かっている会社とそうでない会社で賃金格差が広がってしまいます。

現に日本においても、同じ事務職でありながら、電力会社と飲食会社では明らかな賃金格差があります。

労働者が能無し経営者を支えているという構図となるため、その不平等をなくすためのものが同一労働同一賃金という政策です。

スウェーデンでは、レーンメイドナーモデルによって雇用の流動化を実現させ、生産性を向上させました。

雇用の流動化は、全く別の業界で働く事に抵抗がないというメンタルが前提であり、差別があっては成り立ちません。

アメリカやイギリスなど、移民を受け入れないやり方は一つの経済政策とも言えます。

日本も移民の受け入れに対して消極的ですが、それでは同一賃金同一労働は成立しません。

逆に派遣社員や日雇い労働など日本人を差別する事で、既得権益を守ってきたのが自民党です。

不況が来ても公的救済をしないのがスウェーデンモデルであり、同一賃金同一労働のベースとなる考え方です。

自民党が行ってきた、多額の国債発行で企業を守るというやり方と真逆のように感じます。

格差を是正する事自体は悪いことではないですが、それによる一時的な衝撃を公的援助で支えなければ、大量失業、大量倒産などの予測不能な事態に陥ります。

安冨さんは、「システムが限界を察し自ら破壊しようとしているのでは?」と分析されています。

それが既得権益破壊の菅政権を生み出し、今回の最高裁判決を出させているのだと。

賃金格差が是正される同一労働同一賃金下において、学歴の重要性は薄れます。

そうなれば益々現行の学校教育は無意味なものになるため、義務教育の廃止を本格的に検討すべきでしょう。

義務教育は小学校までとし、職業訓練所を創設などで産業、職業移転のスムーズ化を図る方がよっぽど本人、社会のためになります。

少なくともその選択肢を早い段階で与えるべきですね。